現在の日本は高齢化社会になっていますが、健常な高齢者が多くいることや、また労働力確保の面から、高齢者の雇用が社会的に強く求められています。
そこで、65歳以上の高齢者の雇用を積極的に進めている企業に対して国から助成金が支給されます。
それが、65歳超雇用推進助成金の「高年齢者雇用環境整備支援コース」と「高年齢者無期雇用転換コース」です。
高年齢者雇用環境整備支援コースとは?
高年齢者雇用環境整備支援コースは高年齢の従業員を雇用するための環境を整えることで助成金を受給することができます。
雇用環境整備計画の作成
助成を受けるには雇用環境整備計画を作成し、「高齢・障害・求職者雇用支援機構」に提出して認定を受けることが必要です。
なお、雇用環境整備計画は以下の要件のいずれかを満たしていることが必要です。
1)機械設備の導入等
・高年齢者の職業能力を十分発揮できるように、作業補助具、その他の機械設備を導入する。
・作業指示を平易化し、高年齢者の職業能力を十分に発揮できるように、作業方法を改善する。
・作業効率を高めて、負担の軽減を図ることにより、高年齢者の職業能力を十分に発揮できるような作業環境に改善する。
2)雇用管理制度の導入等
・高年齢者の意欲、能力に応じた適正な配置及び処遇を行うための賃金制度、能力評価制度を導入する。
・高年齢者の希望に応じた勤務を可能とする労働時間制度を導入する。
・高年齢者の負担を軽減するための在宅勤務制度を導入する。
・高年齢者に必要となる知識を付与するための研修制度を導入する。
・高年齢者向けの専門職制度等、高年齢者に適切な役割を付与する制度の導入等
・法定の健康診断以外の健康管理制度(人間ドックまたは生活習慣病予防検診)の導入
・その他、高年齢者の雇用の機会の増大のために必要な高年齢者の雇用管理制度の導入等
雇用環境整備の実施
雇用環境整備計画に即し、助成金受給の対象期間内に雇用環境整備を実施する。
助成対象経費
作業手順書の作成費、機械設備の購入費・賃借料、改修工事費、講習経費、専門家・コンサルタントとへの委託費・相談経費など。
高年齢者雇用環境整備支援コースの受給額はいくら?
下記のいずれかの少ない方の金額が支給され、上限は1,000万円です。
ア)高年齢者の雇用環境整備計画の期間内にかかった助成対象経費に60%をかけて算出された金額(中小企業以外は45%)
イ)助成金の支給申請日の前日までに1年以上雇用されている60歳以上の雇用保険の被保険者である助成金支給対象従業員の数に28.5万円をかけて算出された金額
事業主が生産要件を満たしている場合
以下の金額の内、少ない方の金額が支給されます。
ア)の額に75%をかけて算出された金額(中小企業以外は60%)
イ)の額に36万円をかけて算出された金額
生産性要件を満たすとは、助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」がその3年前に比べて6%以上伸びていることです。
・生産性=(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃貸料+租税公課)÷雇用保険被保険者数
高年齢者無期雇用転換コースとは?
高年齢者無期雇用転換コースは50歳以上の従業員、且つ定年退職年齢以下の期限付き労働者を無期雇用の労働者として雇用した場合に受給できます。
なお、以下の要件を満たすことが必要です。
・「無期雇用転換計画」を「高齢・障害・求職者雇用支援機構」へ提出して認定を受ける。
・無期雇用転換計画に即して、助成金支給の対象期間中に期限付き労働者である高年齢者を無期雇用の労働者として雇用する。
(参考サイト:お金借りる方法)
高年齢者無期雇用転換コースの受給額は?
対象労働者1人に付き48万円が支給されます(中小企業以外は38万円)。
なお、助成金の支給対象となる従業員は1事業所に付き10人までです。
事業主が生産要件を満たしている場合
48万円が60万円に増額されます(中小企業以外は48万円)。
65歳超雇用推進助成金の申請方法
65歳超雇用推進助成金の申請は、支給の対象となる制度を実施した日から2ヶ月以内に必要書類を労働局に提出します。
65歳超雇用推進助成金のまとめ
高齢者とはいえ、現在は働く意欲も力もある人が人が非常に多くなっています。
しかも、経験が豊富であるとともに、高度な技術を持っている人が少なくありません。
65歳超雇用推進助成金を活用することで、助成金を受け取りながら、高齢者を有効に活用できるという企業にとっては大きなメリットを得られます。