フェムト秒レーザオプティクスについて
■ フェムト秒レーザオプティクスと群速度分散(GVD)制御
短パルスレーザは、時間分解分光、高精度材料プロセス、広帯域通信、二光子顕微鏡といった種々のアプリケーションに用いられ、近年、より高出力、短パルス化されています。現在の短パルス用途には主に、Ti:Sapphire レーザを始め、色素レーザや Cr:LiSAF, Cr:LiSGaF レーザといった遷移金属ドープ結晶をベースとする固体レーザが使用されています。こういった用途では、システムを構成する各オプティクスの群速度分散(GVD)制御が不可欠です。またレーザの波長帯域全体にわたって、光学システムの位相特性を制御できる高品質の誘電体多層膜コーティングが必要であり、通常の誘電体多層膜ミラーによる伝播波の位相特性では不適切です。すなわち、フェムト秒レーザオプティクスは、反射、透過といった出力スペクトルに加え、パルスの拡がりや歪みを回避するようパルスのフーリエ因子における位相関係を保持、または必要なパルス変化(広帯域化や狭帯域化)を達成するよう定義された方法に従って位相関係を変化させることが要求されます。
Layertec 社の スパッタコーティング法 による種々のフェムト秒レーザオプティクスは、群速度分散(GVD)が低く、また低損失、長時間にわたる安定性、高ダメージ閾値です。特にミラーは、高い反射率と広い波長域をもち、Ti:Sapphire レーザを用いたフェムト秒アプリケーションに最適です。またチャープミラーとしてもご利用になれます。
パルスが高反射または低反射多層ミラーといった誘電体多層膜ミラーにより反射された際、元のパルスと反射パルスの間でパルスシフトが発生します。これはパルスにおける互いに異なるフーリエ因子がミラーの多層システムを透過するのにかかる時間によりもたらされます。通常、中心周波数 ω0 付近の位相シフト Φ(ω) は、ω0 付近で Taylor シリーズとして発生します:
Φ(ω) = Φ(ω0)+Φ'(ω0)(ω-ω0)+Φ''(ω0)(ω-ω0)2/2+Φ'''(ω0)(ω-ω0)3/6+...
各導関数は、Φ'(ω0): 群遅延、Φ''(ω0): 群速度分散(GVD)、Φ'''(ω0): 三次分散(TOD)に該当します。
この展開式は、正確なソリューションモデルだけでなく、ガウシアンパルスへの変形や純粋な位相歪みの算出にも便利です。またこの展開式により、発生した位相シフトが周波数において直線的であることがわかります(パルスバンド幅全体でΦ'(ω0)≠0, GVD = 0, TOD = 0)。反射パルスは一定の群遅延により時間的遅延が発生し、これは 反射率 R の振幅により量ることができます。パルススペクトルには歪みは発生しません。
GVD≠0のとき、以下二つの重要な効果が観測されます。:
1. 反射パルスは瞬間的に拡がります。このブロードニング効果はGVDの絶対値のみに依存します。
Layertec 社では、このときのパルス形状の保持に便利な 低 GVD ミラー をおすすめします。
2. パルスはチャーピングされ、パルス時間内ではその瞬間的周波数が変化します。この効果は GVD の sin 値に依存します。そのため瞬間的周波数はより高く(up-chirp, GVD >0)またはより低く(donw-chirp, GVD < 0)なります。
負 GVD ミラー を用いると、非線形オプティクスの正の GVD 効果を補正できます。
TOD はパルス長さやパルス形状(パルスの歪み)を決定します。
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